能登と大阪を結ぶ遠隔オペレーションで、配信体制の進化に挑戦
〜 能登半島宇出津「あばれ祭」ライブ配信 2026 〜

シーマは、技術力の向上と被災地支援を目的とした自主企画として、2025年に続き、2026年も能登半島・宇出津の「あばれ祭」のライブ配信に取り組みました。
今回は、衛星通信を活用したネットワーク環境の構築に加え、大阪のシーマテクニカルセンターから遠隔で映像制作・配信オペレーションを行う体制を構築。さらに、伝送経路ごとに異なる映像・音声の遅延を調整するなど、前年の経験を生かした技術的な改善に取り組みました。
 

 
 

難しい条件下でのライブ配信に再び挑戦

「あばれ祭」は、神輿やキリコが町中を巡り、祭りの熱気とともに刻々と状況が変化する、臨場感あふれる祭りです。一方、現地の通信環境の確保や、広範囲を移動する被写体の撮影、観客が密集する場所でのカメラ運用など、ライブ配信を実現するには多くの技術的な課題があります。

あばれ祭

シーマは、KAIROSの活用技術やネットワーク技術の向上、そして被災地支援を目的に、2025年に自主企画として初めてライブ配信を実施しました。2日間の配信を通じて、祭りの迫力を多くの視聴者に届けることができた一方、映像の見せ方や配信品質には改善の余地も残されました。
あばれ祭ライブ配信2025 事例ページ:https://www.cima-net.co.jp/case-study/event/17893/
 
そこで今年は、前年の経験を踏まえ、協力会社のキッセイコムテック様とともに再び配信に取り組みました。祭りの主な4か所に通信環境を構築し、2台のスマートフォンをカメラとして活用。カメラマンがWi-Fiの接続エリア内を移動しながら、キリコや神輿に接近して撮影した映像を、KAIROSでスイッチングしてライブ配信しました。

あばれ祭
あばれ祭

前年の配信で得られた経験と課題を踏まえ、今年は配信体制のさらなる進化を目指しました。
特に重視したのは、現地の通信環境に左右されにくいネットワークの構築、遠隔地からの映像制作・配信、そして複数の伝送経路で生じる映像・音声の遅延への対応です。

これらを実現するため、次の3点を重点課題として掲げ、機材構成や運用体制を見直しました。

衛星通信を活用したネットワーク環境の構築:
現地の既存回線に依存しない通信環境を確保する

大阪からの遠隔オペレーション:
能登で撮影した映像を大阪へ伝送し、クラウドを経由した映像制作・配信を行う

各拠点の映像がシンクロした配信:
伝送経路ごとに異なる遅延を調整し、拠点間の映像をシンクロさせる
 
 

シーマの挑戦1
衛星通信を活用し、現地のネットワーク環境を構築

ライブ配信に必要なインターネット接続には、衛星通信サービスを活用しました。上空が開けた場所にアンテナを設置し、通信回線を確保。その回線を祭りの撮影ポイント付近まで有線または無線で延伸し、スマートフォンによる撮影が可能なネットワーク環境を構築しました。

無線接続には、60GHz帯を利用したPoint to MultiPoint方式の高速無線LANシステムを採用。各接続先にWi-Fiルーター(アクセスポイント)を設置することで、カメラマンが接続エリア内を移動しながら撮影できる環境を整えました。

あばれ祭
あばれ祭

機材の設置にあたっては、前年の運用経験に加え、本番の約1か月前に実施した現地テストの結果を反映。アンテナやWi-Fiルーターの設置場所を検討し、近隣住民の皆様にもご協力いただきながら、通信機器の設置場所や接続方法を検証することで、本番の配信に向けたネットワーク環境を整備しました。

あばれ祭
あばれ祭

 
 

シーマの挑戦2
大阪から遠隔で映像制作・配信

今回の大きな変更点の一つが、映像制作・配信オペレーションの拠点を能登から大阪へ移したことです。

あばれ祭
あばれ祭

映像制作の中核には、IP信号も扱えるライブ映像制作プラットフォーム「KAIROS」を採用しました。2025年はKAIROSを現地に設置して運用しましたが、今年は大阪のシーマテクニカルセンターに設置。能登の撮影ポイントで収録した映像や、現地に設けた特設スタジオの映像をIPネットワーク経由で大阪へ伝送し、遠隔地からスイッチングや配信オペレーションを行いました。

この構成により、映像制作に必要な機材を現地へ運搬する負担を軽減できるほか、現地のオペレーションスペースやスタッフ配置に関する制約の緩和にもつながります。
 

あばれ祭

 
 

シーマの挑戦3
映像・音声の遅延を調整し、同期を確保

遠隔地から映像を伝送する際には、ネットワークや伝送経路の違いによって遅延が発生します。複数の撮影ポイントや特設スタジオから映像・音声を集約する場合、それぞれの遅延時間が異なるため、タイミングを適切に調整する必要があります。

そこで今回は、カメラ映像とスタジオ映像の時間軸を合わせるため、映像信号に意図的な遅延を加える方法を採用しました。伝送経路ごとの遅延を考慮し、各映像のタイミングを調整することで、複数の映像を組み合わせたライブ制作に対応しました。
 

あばれ祭

 
今年のあばれ祭のライブ配信では、衛星通信を活用した現地ネットワークの構築、大阪からの遠隔オペレーション、映像・音声の遅延調整という3つの課題に取り組みました。
実際の運用を通じて得られた知見や新たな課題を検証し、今後の技術改善につなげていくことも、今回の自主企画の重要な目的です。

シーマは今後も、映像・音響機器とネットワーク技術を組み合わせたシステム構築・運用に取り組み、現地の環境や条件に応じた映像制作・配信の可能性を広げていきます。
 
 

視聴者の声・ライブ配信アーカイブ

配信中には、映像や音声の品質、配信の見応えに関する感想に加え、祭りへの思いや地元とのつながりを感じさせる声が多く寄せられました。ライブ配信が祭りの臨場感を届けるとともに、現地を離れて暮らす方々にも、祭りとのつながりを感じていただく機会となったことがうかがえます。(以下、一部抜粋)

・テレビで、見てますよ~
・映像と音声すごい綺麗です!
・見応えあるなぁ
・あー。帰りたい。2年間祭に帰れてないから寂しい。
・父が宇出津出身で、毎年あばれ祭りに行く為に宇出津に帰るのを楽しみにしています。
 

 

 
 

担当者の声

株式会社シーマ
プロジェクト開発推進室 プロダクト開発推進グループ
上野 正幸

今年は、昨年の配信で課題となった画質や演出面の改善に加え、能登と大阪間のリモートプロダクションに取り組みました。現地の機材やスタッフの負担を軽減しながら、大阪の倉庫環境を活用し、機材を移動させることなく映像スイッチングを行うことが狙いです。

衛星通信を活用したネットワーク環境の強化や映像・音声の遅延調整に取り組み、昨年よりも安定した映像の切り替えと、高いビットレートでの映像伝送を実現できました。一方、現地では観客の増加に伴う電波状況の変化に対応し、アンテナの設置位置や高さを調整して通信環境を確保しました。また、能登(2拠点)と大阪を結ぶ3拠点間で映像・音声の遅延を調整するなど、リモートプロダクションに​必要な技術検証も重ねました。

今後は、さらなるネットワークの安定性や映像品質の向上に加え、機材の接続やセッティングの省力化にも取り組みたいと考えています。設営・運用の負担を軽減し、スタッフが映像の見せ方や演出といった本来の業務に集中できる環境を整えることで​、さまざまな現場で活用できる配信システムを追求できればと思っています。​
 
 

システム図

あばれ祭

 
 

今回活躍した映像機器

AT-KC10C2G
コントロールパネル
AT-SFC10G
Kairos Creator
AT-KC2000T
メインフレーム
KiPro Go
マルチチャンネル H.264レコーダー
V-160HD
ストリーミングビデオスイッチャー
DM3
デジタルミキサー
AW-UE160
リモートカメラ
AG-CX350
メモリーカード・カメラレコーダー

 
シーマでは、祭りはもちろん、音楽やスポーツなど多彩なイベントのライブ配信を承っております。ご希望の予算や規模に合わせて最適な機材と経験豊富な技術者をご用意し、臨場感あふれる映像をお届けします。生の感動をより多くの方々に届けるライブ配信、ぜひ一度ご相談ください。
 
 

関連情報

KAIROS特設ページ︓https://www.cima-net.co.jp/sp-contents/11823
ProAV Picks取材掲載:https://proav-picks.com/articles/30
Panasonic様 KAIROS事例︓https://connect.panasonic.com/jp-ja/case-studies/cima
ITmediaNEWS「ライブ配信特化の“ネット中継⾞” テレビ局でもないのに作った⼤阪の会社を訪ねてみた」︓https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2302/15/news130.html
あばれ祭公式サイト:https://abarematsuri.jp/
キッセイコムテック株式会社:https://www.kicnet.co.jp/
デジベント株式会社:https://www.digivnt.jp/
 
 
 

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