2014年12月07日(日)
<みなみなさま おつかれさまでございにゃす!
こんかいは ぜんかいの つづきだよ! おぼえてる?
<前回はAとBどちらが明るいかという比較実験の3種類中2種類をやったので
今回は残りの1種類をします。
Q.AとBの合計輝度は同じですが、投影サイズが同じ場合デュアル投影とシングル投影明るさに差が出るでしょうか?
A. 1.デュアルの方が明るい 2.シングルの方が明るい 3.どちらも同じ
<1!デュアルのほうがあかるい!
2だいだし、なんか つよそうーー!!
<通常はデュアルで輝度は倍になると言われていますが
シングルの方が明るいと考える人もデュアルの方が明るいと考える人もいるので、検証してみました。
【使用機材】
・プロジェクター:3チップDLP 8000lm×2台
・プロジェクター:1チップDLP 6000lm×2台(シャッター実験で使用)
*ルーメン[lm]とは、光の量を表す単位で、最近ではプロジェクターの他にLED照明にも使用されています。
・輝度計
・照度計
ランプの使用時間によってプロジェクターの明るさは少しずつ違ってくるので、
8000lmデュアルと16000lmシングル投影という単純な比較ではなく、
8000lmを2台用意し、それぞれの輝度を計り、計算上の合計輝度と
実際デュアルした時の輝度を比較するという実験方法にしました。
【測定方法】
スクリーン面は計測するポイントで輝度が変わってくるので、スクリーンセンターを3回計測し
その平均をプロジェクターの輝度とします。
【実験】
では、まずシングル投影のプロジェクター輝度を計っていきます。
プロジェクターをそれぞれ仮にS1、S2と名付けて、測定結果を表にしました。
単位はカンデラ毎平方メートル[cd/㎡]です。
S1の平均値とS2の平均値を足すと980.2cd/㎡になりますね。
デュアルで投影した際も980.2cd/㎡以上になるのか、以下になるのか
はたまた同じなのかを見てみましょう。
<946.6!?!?
どうなってんの?ほわっつ まいける!!!!!!!
<なんと!!光は足し算だと思っていたのですが
デュアルで投影したら、ほんの若干ですが、約3.4%下がりましたね。
輝度計はスクリーンを反射した光を計測するもので、スクリーンの素材が影響して
輝度が下がった可能性があるので、今度は、スクリーン面に当たる直前の光の明るさを
照度計を使って調べてみました。
照度とは、平面上の物体に照射された光の明るさを表し、
一般的には主に部屋の明るさを示すのに利用されます。単位はルクス[lx]
当てて計る照度計↓
こちらも3回計って平均値を出します。単位はルクス[lx]
上写真の照度計の表示が144になっていますが、「×10モードで測定しているため」
一桁下がっています。本来は1440lxです。
S1とS2の平均値の合計値は2837ですね。では、デュアル投影ではどうなるでしょうか。
平均値が2743なので、約3.3%下がっています。ということは、
輝度と照度の低下率は同じなので、スクリーンの影響はほとんどなく、
スクリーン面に投影する前に既に輝度が下がっているということが分かりますね。
<けっきょく それはどういうことなの?
<わ か り ま せ ん!!!!!!!!!
<それダメ!!!!このぶろぐ オチない!!!!!
<どういうことなんでしょうね。光と光が当たると何かのタイミングで消し合うんですかね。
そんな物理光学さっぱり分かりませんけどね。知ってたら研究所で働いているという話ですよね。
<ひらきなおらないで!どうすんのさぁ〜!
プルルルルルプルルルルルプルルルルル(電話の発信音)
<あ、もしもし。メーカーさんですか。聞きたいことがあるのですが
・・・・・(ごにょごにょ)・・・・・教えていただき、ありがとうございました!
<あ、また おくのて つかってる!!!ずるーーーい!!
<謎はすべて解けました。興味のある方はここに集まってください。
犯人はここにあります!!(ザワザワ、、あります?、ザワザワ)
理論上、光は重ねると足し算で明るくなります。(ですよね!)
しかし、プロジェクターには構造的にシャッタースピードが存在します。
つまり、シャッターを高速で切っているということです。
今のDLPは1/120秒かそれ以上かもしれませんが、仮にそうだとすると
1秒間に120回、目には見えませんがシャッター動作による黒画面が一瞬出ます。
図で説明すると、こんな感じです。
<しゃしんに うつっているねこは ぼくのともだちで「さんかく」というなまえだよ
<弊社にはコンテンツ部門があり、モデルとしてじょしゅの友達(猫)が
複数匹所属しています。社内にも広まっていないことですが(小声)
投射面を高速シャッターで撮影した場合
プロジェクター自身の垂直周期(コマ数)の黒い帯(ブランク部分)が見えます。
この例はどのプロジェクターも同じタイミングで動作した場合、
シングルにしろデュアルにしろ黒い帯も同じ位置に見えるので
輝度は下がらず、デュアルにしても明るさはちょうど2倍になります。
しかし、タイミングが同じではない場合、下の絵のようにデュアルにすると
黒い帯が2つ現れることになりますよね。
これが原因で輝度が2倍になっていないとのことでした。
これも実際のプロジェクターで見てみましょう。
1チップDLPの6000lm×2台を使用しました。
後日この実験をし、8000lmが無かったので6000lmを使用しましたが、深い理由はありません。
タイミングが同じかだけを調べるので、プロジェクターを1台ずつ並べて投影しました。
カメラのシャッタースピードは1/8000秒です。
左画面の上部にうっすらと黒い帯が出ているのがお分かりでしょうか。
これがプロジェクター内部で行われているシャッター動作の結果です。
これが同じタイミングであれば、右の画面にも出ているはずですが
出ていないので、少しずれているようですね。
【結論】
黒い帯は全体の映像からすると数%程度です。仮に3%としましょう。
デュアルで投射した場合、もし、同じ場所に黒い帯が出れば重ねても3%ですが
シャッタースピードが絶対的に同じタイミングということはないでしょう。
よって重ねた時全体の6%が黒い帯になる計算になります。
輝度が下がる原因は以上のことかもしれません。
しかし、シャッター動作を備えている映像機器だからこそ起こる現象で、
白熱電球では発生しません。
デュアルにするとほんの数パーセント輝度が下がるという結果にはなりましたが
肉眼で分かるレベルでもありませんし、万が一1台映らなくなっても、
もう1台あるというメリットもありますので、一概に絶対シングルで!!というものでもありません。
現場にあったプロジェクター選びが重要ではないでしょうか。
<なるほど!だけど、せつめいが ながーーーい!!のうみそ とけた。
【勉強熱心な方へ】
<シャッター実験で画面がなぜ赤いんだろうと思われたでしょうか?
思われた方、着目点が素晴らしいです。赤いのには理由があります。
1チップDLPプロジェクターを使用しましたが、1チップがミソです。
1チップとは、デジタルミラーデバイス(DMD)という素子が1つ使用されているということで、
3チップDLPのように、DMDが3つ使用されており、RGBがそれぞれ単体で
用いられているということではなく、RGBを1つで賄っているということです。
構造は下記のようになります。
RGBのカラーフィルターリングが高速回転し、入力の信号とタイミングを合わせて投影しています。
高速なので、肉眼で見ることは出来ませんが、シャッタースピードの速いカメラで
撮影すると、この違いが見られます。
ちなみに、赤色で撮影されている画面は肉眼で見ると白です。
私の目にも白にしか見えませんでした。カメラは賢いですねぇ。
ということで、今回の実験は終了したいと思います。
ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました。
<おつかれにゃまでした。じかいも よろしーま!!